ホーム > コラム > 妊娠・出産 > 出産の痛みはどれ位に強い?例えるとしたら?痛みの和らげ方等もご紹介

出産の痛みはどれ位に強い?例えるとしたら?痛みの和らげ方等もご紹介

医療法人みらいグループ
出産の痛みはどれ位に強い?痛みの和らげ方等もご紹介

妊娠中は、赤ちゃんに会えるのが待ち遠しい、成長が嬉しいという前向きな気持ちだけでなく、ご自身の体の辛さに悩んだり、「出産はどれくらい痛いのだろう」「痛みを和らげるにはどうしたらよいのだろう」という不安に感じたりすることもあるでしょう。
出産に伴う痛みは、誰もが多少なりとも感じるものです。正しく知って準備をしておくことで、落ち着いて対処することが出来るのではないかと思います。今回は、出産時の痛みの程度や痛む部位、痛みを和らげる方法を、無痛分娩を含めてご紹介します。

お産の進み方

「お産は、一人ひとり全く違うもの」と聞いたことがある方もいるかもしれません。たしかに、お産の時期(週数)、進むスピード、痛みの程度などは、個人差があり、事前に予測するのは難しいです。
ですが、皆さんがおおむね同じような段階を踏んで出産まで至ります。一般的なお産の進み方について、まずは理解しておきましょう。

お産の始まるサイン

お産が始まるサインとして、おしるしがあります。
おしるしは、子宮口が開き始めたときに卵膜が子宮から剥がれるときに生じる出血ですが、おしるしの無いまま陣痛が始まる方もいます。おしるしから陣痛までの間隔も、数時間〜1週間程度と個人差が大きいです。

また、本格的な陣痛が始まる前に、不規則にお腹の張りや痛みを生じる「前駆陣痛」も、お産が近いサインの一つです。臨月になったら、いつ前駆陣痛を感じてもおかしくはありません。生理痛のような痛み、下痢をしている時のような痛みと表現される方が多いです。2〜3日程度で本陣痛が始まる方が比較的多いですが、前駆陣痛が数週間にわたり続く方もいます。

本陣痛の開始

出産に向けて、子宮が本格的に収縮を始めます。前駆陣痛とは異なり、痛みの間隔は規則的です。初めは、生理痛のような下腹部の鈍い痛みですが、間隔が短くなってくるのに伴って、痛みも強くなってきます。1時間に6回以上(10分間隔)になったら、本陣痛と判断されます。

子宮口〜3cm

この段階では、下腹部や、足の付け根が痛みます。弱い生理痛程度で、食事を摂ったり睡眠を取ったり出来る方がほとんどです。陣痛間隔は10分程度とまだまだ長いので、いつも通りの呼吸をしながら、リラックスして過ごしましょう。

子宮口〜5cm

徐々に痛みが強くなってきて、身の置きどころが無いように感じる方もいます。この段階になると、下腹部だけでなく、腰も痛くなってくるため、付き添いの方に腰を押してもらったり温めてもらったりすると楽になります。
陣痛間隔も3〜5分程度と短くなってきます。

子宮口〜8cm

おしゃべりも辛い程に痛みが強くなり、陣痛間隔は2〜3分程度にまで短くなってくる段階です。腰やお尻に強い痛みがあり、「大きな声を出したい、叫びたい」とおっしゃる方もいます。
このくらいまで子宮口が開くと、破水することが多いです。破水は、ドバッと大量に出る場合もあれば、尿もれかと思うほど少量の場合もあります。

子宮口全開

子宮口全開まで、初産婦さんの場合で平均12時間程度、経産婦さんで6時間程度です。全開になると、息をするのも苦しいというほどの痛みになってきます。腰やお尻に加え、会陰部にも、押されるような痛み、突っ張るような痛みを感じるようになります。
助産師さんの合図とともに、いきみましょう。子宮口が全開になってから出産まで、平均1〜2時間程度です。

お産の段階 痛む部位 痛みの強さ
おしるし(前段階) なし なし
前駆陣痛(前段階) 下腹部 生理痛、下痢の時に似た痛み
子宮口〜3cm 下腹部、足の付け根 弱い生理痛
子宮口〜5cm 下腹部、腰 強い生理痛、身の置きどころが無い感じ
子宮口〜8cm 下腹部、腰、会陰部 叫びたい、おしゃべりも辛い
子宮口 全開 下腹部、腰、会陰部 呼吸も辛く感じる程の痛み

出産の痛みはどのくらい?

お産の痛み方は人それぞれですが、次のように例えてくださる方がいます。

  • 内臓をわし摑みにされたような痛み
  • ハンマーで腰を殴られたような痛み
  • 今まで感じたことのない強さの痛み
  • 生理痛の100倍くらいの強い痛み
  • 気絶しそうなくらいの痛み

やはり、日常生活で経験するような痛みとは、強さの程度が全く違うと感じる方が多いです。

出産による痛みは骨折よりも強い

マギール(マクギル)痛み尺度
参考:Melzack R:The MacGill Pain Questionaire:Major properties and scoring methods. Pain 1:277-299, 1975

人生で経験する様々な痛みの程度を数値で表現した「マギール痛み尺度」というものがあります。その尺度によると、切り傷や骨折、ヘルペス後の神経痛などよりも、出産の痛みは強いそうです。

また、初産婦さんは、経産婦さんよりも痛みを強く感じやすい傾向にあります。

出産の痛みを和らげるために

ここまで、お産の流れや、段階ごとの痛みの部位・程度についてお伝えしました。もしかすると、「出産はすごく痛いものだ」と不安になってしまった方もいるかもしれません。ですが、いくつか対策を取ることで、痛みを和らげることも可能です。
出産の痛みを少しでも和らげるため、ご自身で出来る対策についていくつかご紹介します。出産に向けて、準備してみてください。

母親学級で心身の準備をする

マギールの痛み尺度の調査では、母親学級(マタニティクラス)を受けるなどして出産の準備をしていた妊婦さんの方が、準備をしていない妊婦さんに比べて、痛みを少し弱く感じるという結果になりました。
陣痛がきたらどうするか、出産がどのように進むかなどを具体的にイメージしておくことで、落ち着いてお産を迎えることが出来て、リラックスに繋がるためではないかと思われます。
母親学級に参加し、疑問を解消しておきましょう。

当院の母親学級の詳細

マッサージをする

陣痛中は、腰が痛くなるということをご紹介しました。
そのような場合、ゴルフボール・テニスボールなどで腰や仙骨(お尻の割れ目の少し上)の周辺を押してもらうと、痛みを和らげることができます。また、いきみ逃し(いきむのを我慢しなければいけないとき)をする際、ゴルフボールやテニスボールで肛門周辺を押さえてもらうと、上手くいきみ逃しが出来る方が多いです。
本番の練習のため、付き添ってくれる方にボールでマッサージしてもらいましょう。妊娠中の腰痛にも、ある程度効果がありますよ。

呼吸法を練習しておく

母親学級(マタニティクラス)でも指導を受けると思いますが、お産の最中は、陣痛の状況で呼吸の仕方を変えますので、練習しておくことが大切です。代表的なのは「ラマーズ法」や「ソフロロジー法」で、聞いたことがある方も多いでしょう。

当院では特に、ソフロロジー法を推奨しています。呼吸に加え、イメージトレーニングやエクササイズなどを組み合わせる方法です。よりリラックスし、穏やかな気持ちで赤ちゃんと対面の瞬間を迎えられる方法だと考えています。

産院により推奨する呼吸法は異なりますが、いずれの方法も、呼吸によって気持ちを集中させたり、体をリラックスさせたり、痛みを逃したりする効果が期待されます。
助産師さんに指導してもらいながら、ご自宅でも練習してみてください。

無痛分娩も一つの方法

出産時、麻酔を用いて痛みを軽減する「無痛分娩」も一つの方法です。最近では、無痛分娩を選ぶ方も増えてきました。無痛分娩を行える施設はまだ限られていますが、可能な限り痛みを軽減して出産したいという方は、検討してみるとよいでしょう。
持病などの影響で自然分娩にリスクのある方に限らず、希望する方も、無痛分娩を選択することができます。
(一部、 無痛分娩を行えない方もいます。かかりつけの産科で、個別にご相談ください。)

無痛分娩の特徴や、知っておきたいリスクについてご紹介します。

無痛分娩の特徴

無痛分娩では、自然分娩の場合の10〜30%程度に痛みが抑えられると言われています。誤解されやすいのですが、痛みがゼロになるわけではありません。ただし、痛みが大幅に軽減されるので、次のような多くのメリットが得られます。

  • リラックスして出産を迎えられる
  • 赤ちゃんへの酸素供給量が増える
  • 会陰縫合時に痛みを感じにくい
  • 体力を温存できる
  • 産後の回復が早い傾向にある

無痛分娩のリスク

無痛分娩には麻酔薬を使用します。そのため、薬による副作用や、無痛分娩に伴う合併症などをゼロには出来ません。リスクについても理解した上で、納得して無痛分娩を選びましょう。

  • 副作用、合併症のリスクがある
  • 費用がかかる
  • うまくいきめず時間がかかる可能性がある
  • 陣痛促進剤や吸引娩出が必要になる場合がある

起こる可能性がある副作用や合併症について、いくつか挙げます。いずれも頻度が高いわけではありませんが、リスクとして知っておく必要があります。詳細は、出産予定の産科で説明を受けてください。

無痛分娩で起こりうる副作用・合併症

【少し頻度の高いもの】

  • かゆみ
  • 発熱
  • 血圧低下

【稀なもの】

  • 頭痛(硬膜外穿刺の影響による)
  • アナフィラキシー
  • 下半身の痺れ
  • 硬膜外血腫

当院の無痛分娩の詳細

まとめ

今回は、出産に伴う痛みの程度や痛む部位、痛みを和らげるための方法についてご紹介しました。
出産は命がけ、交通事故に遭ったくらいのダメージを受けるなどとよく言われますが、お産の流れや痛みについてしっかり知っておくことで、痛みを少し和らげることができます。その他にも、呼吸法の練習や、マッサージも有効です。出産に向けて、準備しておきましょう。
少しでも痛みを減らし、リラックスしてお産に臨みたい方は、無痛分娩も検討してみてください。

当院の分娩・出産について

コラム一覧に戻る
この記事の監修
木野産婦人科医院 院長 木野 秀郷
木野 秀郷
木野産婦人科医院 院長
あなたと家族の”みらい”に向けて、明るい笑顔と真心、そして安心の医療体制で、安らぎと感動を提供いたします。産科・婦人科にかかわる心配事は、程度にかかわらず何でも「木野産婦人科医院」までご相談にいらしてください。