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初産の無痛分娩はできないと思っていませんか?メリットと注意点をわかりやすく解説

医療法人みらいグループ
初産で無痛分娩は選択できる?メリットや注意点を解説

出産の際に、分娩の痛みを和らげることができる「無痛分娩」。近年は世界的に選択する女性が増えており、日本でも少しずつ広がりを見せています。
一方で、医療機関によっては初産婦の無痛分娩を受け入れていないケースもあり、「初産だと無痛分娩はできないの?」と不安に感じる方も少なくありません。

この記事では、初産婦が無痛分娩を選択する際のポイントを詳しく解説します。初産で無痛分娩を行うメリットや注意点、医療機関を選ぶ際に知っておきたいポイントを紹介しますので、出産方法に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

無痛分娩とは

無痛分娩とは、分娩時に麻酔を使用して痛みを和らげる医療行為です。「和痛分娩」と呼ばれることもあります。

名称に「無痛」という言葉が使われているため、完全に痛みを無くす分娩方法だと誤解されがちですが、実際は8割程度の痛みを麻酔で抑え、残り2割程度は痛みを残すことが多いです。
これは、全ての痛みを感じない程強い麻酔を使用してしまうと、筋肉まで麻痺してしまい、分娩時に必要な「いきみ」ができなくなってしまうからです。
また、わずかに痛覚を残すことで、陣痛による子宮の収縮や、赤ちゃんが生まれてくる感覚を実感することもできます。
そのため、「無痛分娩」よりも「和痛分娩」という言葉のほうが、実際のイメージに近いといえるでしょう。

痛みの感じ方には個人差がありますが、自然分娩に比べると痛みが抑えられるケースが多く、体力の温存や高血圧の抑制、産後の回復が早いなど、さまざまなメリットがあるといわれています。

初産婦は無痛分娩ができる?できない?

初産婦でも無痛分娩は可能かどうか
日本では、都心部や人口の多い地域を除くと、無痛分娩に対応している医療機関はまだ多くありません。
そのため、「やっと無痛分娩ができるクリニックを見つけたのに、初産は受け付けていないと言われた」という経験をした方もいるかもしれません。

結論からいうと、無痛分娩は初産婦でも経産婦でも受けることができます。
ただし、初産婦の場合は分娩時間が長引きやすい、陣痛の進行が読みにくいなどの特有のリスクがあるため、安全性を考慮して初産婦の無痛分娩を受け付けていないクリニックもあります

また、出産回数だけでなく、体質や持病の有無、過去の妊娠・出産の経過などによっても、無痛分娩が受けられない可能性があります。
希望する方は、事前に医師と十分に相談し、自分の体に合った方法を選ぶことが大切です。

初産婦の無痛分娩によるリスク

本来、無痛分娩は初産婦でも経産婦でも受けることができます。それにもかかわらず、「初産婦は断られる」と聞くと、少し不安に感じてしまいますよね。なかには「初産婦は経産婦よりもリスクが大きいから断られるのでは?」と心配する方もいるでしょう。

確かに、初産婦の出産には経産婦とは異なる特徴やリスクが存在します。その内容を正しく理解したうえで、無痛分娩を検討することが大切です。

リスク1.分娩が長期化しやすい

初産婦は経産婦に比べて、分娩にかかる時間が長くなる傾向があります。一般的に、経産婦の平均分娩時間は6〜8時間ほど、初産婦では12〜15時間ほどとされています。

特に、子宮口が全開になってから赤ちゃんが生まれるまでの「分娩第2期(いきみの時間)」は、経産婦が平均30分〜1時間に対して、初産婦では1〜3時間かかることが多いといわれています。
無痛分娩では、麻酔の管理を行う麻酔科医や、母体の状態を観察する助産師・看護師の体制が重要です。そのため、スタッフの人数に余裕がないクリニックでは、長時間化する出産の中で常に熟練の医療従事者を待機させることが難しいことがあります。

このような理由から、初産婦の無痛分娩に対応していないクリニックが少なくありません。

リスク2. 陣痛誘発剤が効きにくいことがある

無痛分娩には、自然に陣痛が始まるのを待ち、必要なタイミングで麻酔の処置を行う「オンデマンド方式の無痛分娩」と、陣痛誘発剤やバルーン処置(子宮口を広げて分娩の進行を促すための処置)によって人工的に陣痛を起こして必要なタイミングで麻酔を行う「計画無痛分娩」があります。

初産婦は比較的、陣痛誘発剤の効果が出にくい傾向があり、計画無痛分娩が難しい場合があります。陣痛誘発剤が効きにくく分娩が長引くと、病床数の少ないクリニックではベッドの確保が難しくなったり、麻酔科医やスタッフを長時間待機させる必要が生じたりします。

こうした人員体制や病床管理の面から、初産婦の無痛分娩を制限している医療機関もあるのです。

初産で無痛分娩を選択するメリット

初産婦の無痛分娩ができない理由を見ていくと、病床数や医療従事者の人員体制などが背景にあることが分かりますよね。つまり、これらの問題をクリアできるクリニックの多くは、初産婦の無痛分娩も対応しています。

無痛分娩には産婦にとって多くのメリットがありますが、特に初産婦の場合は以下のような利点が挙げられます。

1.心身の負担を軽減できる

初めての出産では、「どれほど痛いのだろう」と未知の痛みを想像し、強い恐怖心を抱いてしまうことも少なくありません。恐怖心を感じるだけでも心身は疲弊し、体力を温存できないまま出産に臨むと、分娩が長時間化してしまうことがあります。恐怖と緊張によって体力を消耗し、分娩がさらに長引くという悪循環に陥ることもあります。

無痛分娩を選択することで、「痛くなったら麻酔をしてもらえる」という安心感が得られます。この安心感によって緊張が和らぎ、体力を温存したまま分娩がスムーズにすすめば、心身の負担を軽減できるという大きなメリットがあります。

産後は特に大きな問題がなければ、すぐに赤ちゃんのお世話が始まります。初めての育児で戸惑うことも多い初産婦の場合、できるだけ出産のダメージを抑えて育児へ備えることも大切です。

また、出産後はすぐに赤ちゃんのお世話が始まります。初めての育児で戸惑うことが多い初産婦にとって、出産時のダメージを少しでも抑えて体力を残しておくことが、産後の回復にもつながります。

2.次の妊娠・出産へのトラウマを防ぎやすい

初産で出産が難産になり、分娩時の痛みや恐怖が強く印象に残ってしまうと、「またあの痛みに耐えるのか」と考えて次の妊娠や出産に前向きになれない方もいます。

無痛分娩を選択して痛みや恐怖を軽減することで、分娩へのトラウマを防ぎやすくなり、次の妊娠・出産への心理的なハードルを下げることができます。

3.帝王切開への移行がスムーズ

妊娠の経過によっては、無痛分娩の途中で帝王切開へ切り替える可能性があります。無痛分娩で使用する硬膜外麻酔は、帝王切開で使用する麻酔と同じ種類のため、すでに麻酔ルートが確保されている場合、緊急時にもすぐ帝王切開へ移行できるというメリットがあります。
例えば以下のようなケースでは、帝王切開になる可能性があります。

  • 赤ちゃんが大きい
  • ママが小柄で骨盤が小さい
  • 逆子など胎位に問題がある場合

自然分娩を予定していても、状況によって帝王切開が必要になる可能性がある方は、無痛分娩を選ぶことで、緊急時の対応がよりスムーズになります

初産の人が無痛分娩を行う際にかかる時間

自然分娩の場合、初産婦の分娩の平均時間は12~15時間と言われています。初産の人が無痛分娩を選択した場合は、プラスで3~5時間ほどかかるケースが多いようです。

自然分娩の場合、初産婦の分娩時間は平均で12〜15時間程度といわれています。初産の人が無痛分娩を選択した場合は、麻酔の影響で陣痛の進みがゆるやかになり、3〜5時間ほど長くなるケースもあるようです。

ただし、分娩の進行には個人差が大きく、必ずしも「無痛分娩だから時間が長くなる」とは限りません。また、医療機関によっては、夜間などの対応時間外に入院した場合、一時的に分娩を中断し、再開を翌朝に行うケースもあります。
このような医療体制やスケジュールの都合によって、結果的に分娩時間が長くなることもあります。

実際に無痛分娩を経験した方の中には、「数時間長くなるだけで痛みが和らぐなら、次の出産でも無痛分娩を選びたい」という声も多くあります。そのため、分娩時間の長短による負担の感じ方には個人差が大きいといえるでしょう。

初産の人が無痛分娩をする際に医療機関を選ぶポイント

無痛分娩を希望する際は、「無痛分娩を行っているから」という理由だけで選ぶのではなく、自分に合った方法・体制を整えている医療機関かどうかを見極めることが大切です。

妊娠・出産は人生の大きな節目。より安全で理想的な出産にするためにも、希望に沿った対応が可能な医療機関を選びましょう。

ポイント1.初産でも対応してもらえる医療機関を選ぶ

初産の人の場合、無痛分娩に対応している医療機関であっても、必ず初産での申し込みが可能かどうかを確認しましょう。医療機関によっては、経産婦のみ受け入れをしているケースもあります。

ポイント2.処置方法で医療機関を選ぶ

無痛分娩には、計画分娩方式とオンデマンド方式の2種類があります。医療機関によって対応できる方法が異なるため、自分の希望に合った方式で対応してもらえるかを確認することが重要です。

初産で「計画無痛分娩」を選ぶメリット・デメリット

計画無痛分娩は、自然な陣痛を待たず、陣痛誘発剤やバルーン処置を使って人工的に陣痛を起こし、麻酔を行う方法です。

メリット
  • 陣痛を誘発するため、出産予定日が大きくずれにくい
  • 陣痛が始まる前から入院しているため安心感がある
デメリット
  • 初産の場合、陣痛誘発剤やバルーンが効きにくく、陣痛が起こりにくいことがある
  • 平日の日中のみ対応している医療機関が多く、夜間は促進剤を止めて翌日に持ち越される場合がある
  • 陣痛誘発剤による過強陣痛や子宮破裂などのリスクがある
  • 麻酔を早期に始めると陣痛が弱まり、分娩が長時間化する可能性がある
  • 予定より早く陣痛が始まった場合、無痛分娩に対応できないことがある

初産で「オンデマンド式無痛分娩」を選ぶメリット・デメリット

オンデマンド式無痛分娩は、自然に陣痛が始まってから、痛みの度合いや分娩の進行に応じて麻酔を行う方法です。

メリット
  • 赤ちゃんが生まれる自然なタイミングで分娩に進める
  • 陣痛誘発剤によるリスクを避けられる
  • 計画無痛分娩より予約が取りやすい
  • 計画無痛分娩に比べて費用が抑えやすい
デメリット
  • 担当医師の経験や技量により、麻酔処置のスムーズさに差が出る場合がある
  • 分娩の進行が早いと、麻酔が間に合わないことがある
  • 医療機関によっては、夜間や休日に対応できない場合がある

オンデマンド式無痛分娩は、担当医師の経験や判断力がスムーズな麻酔処置に直結します。そのため、無痛分娩の実施件数が多く、どの医師も一定の経験を持つ医療機関を選ぶと、安心して出産に臨みやすいでしょう。

まとめ

今回は、初産の場合の無痛分娩についてご紹介しました。
基本的に、無痛分娩は初産婦でも経産婦でも受けることが可能です。ただし、初産特有のリスクを考慮し、安全面や管理体制の観点から初産婦の無痛分娩を受け付けていない医療機関もあります。

また、多くの医療機関では、初産婦の心身にかかるリスクそのものよりも、医療機関側の設備や人員体制に関するリスクを考慮し、初産の方の無痛分娩を受け入れていない場合があります。
そのため、「初産では危険だからできない」というわけではなく、安全に対応できる環境を整えることが難しいための判断であることをご理解いただければと思います。

初産で無痛分娩が断られるのは、「母子にとってリスクが高いから」ではなく、医療体制の問題によるケースが多いという点を誤解しないことが大切です。
無痛分娩について正しい知識を持ち、自分に合った出産方法を検討することで、より安心して出産に臨むことができます。
初産で無痛分娩を希望される方は多く、十分な医療環境と人員体制が整っている医療機関では、経産婦と同様に受け入れを行っています。

当院でも、初産の方の無痛分娩に対応しております。ご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

当院の無痛分娩の詳細

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この記事の監修
木野産婦人科医院 院長 木野 秀郷
木野 秀郷
木野産婦人科医院 院長
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