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スムーズに産むには?陣痛を乗り切る「いきみ逃し」と上手ないきみ方をご紹介

医療法人みらいグループ
スムーズに産むには?陣痛を乗り切る「いきみ逃し」と上手ないきみ方をご紹介

長い妊娠期間もいよいよ終盤に入り、出産当日の流れが気になっているママも多いのではないでしょうか。陣痛や破水など、初めてのことばかりで不安に感じる場面もありますよね。

そんな中で、「いきみ逃し」という言葉を聞き、「どんなことをするの?」「本当に必要なの?」と疑問に思っているママも少なくありません。

この記事では、出産をスムーズに進めるために大切な「いきみ逃し」について、分かりやすく解説します。陣痛が始まってから慌てないよう、いきみ逃しの基本やコツを事前に確認しておきましょう。

いきみ逃しとは

「いきむ」とは、息を止めてお腹に力(腹圧)をかけることを指します。出産の際には、このいきみによって赤ちゃんの娩出が進みますが、いきむタイミングはとても重要です。

子宮口が十分に開く前にいきんでしまうと、赤ちゃんやママの体に負担がかかることがあります。そのため、娩出のタイミングまではいきむのをこらえ、呼吸などで力を逃がすことを「いきみ逃し」と呼びます。

安産を目指すためには、いきみ逃しの考え方や方法をあらかじめ知っておくことが大切です。事前にイメージしておくことで、陣痛中も落ち着いて対応しやすくなるでしょう。

なぜ必要?いきみ逃しをする理由

なぜ必要?いきみ逃しをする理由
陣痛が進むにつれて、赤ちゃんの頭は少しずつ下がってきます。その過程で、お腹に力を入れたくなる、いわゆる「いきみたい」と感じる場面も増えてきます。

しかし、子宮口が十分に開く前にいきんでしまうと、強い腹圧がかかり、ママや赤ちゃんに負担がかかることがあります。たとえば、血流が一時的に滞ってしまったり、産道がまだ十分に準備できていない状態で力が加わることで、会陰への負担が大きくなり、裂傷につながる可能性もあります。

また、いきみによって産道周辺がむくんでしまうと、赤ちゃんの通り道が狭くなり、出産がスムーズに進みにくくなることもあります。その結果、分娩に時間がかかってしまうケースも考えられます。

いきみ逃しは、赤ちゃんが自分の力で少しずつ産道を進み、無理なく生まれてくるために大切なプロセスです。医師や助産師の声かけをよく聞きながら、適切なタイミングまで上手にいきみをコントロールしていきましょう。

いきみ逃しはいつ行うの?

分娩の流れといきみ逃しを行うタイミング
出産の流れは、大きく「分娩第1期・第2期・第3期」の3つの段階に分けられます。
陣痛が始まると、赤ちゃんが下がってくることで「いきみたい」と感じる衝動が徐々に強くなっていきます。

しかし、陣痛が始まってから子宮口が全開になるまでの「分娩第1期」では、基本的にいきみ逃しを行います。
子宮口が十分に開ききるまでは、いきまずに呼吸を意識しながら過ごすことが大切です。

分娩第1期にかかる時間には個人差がありますが、目安としては初産婦で約10~12時間、経産婦で約4~6時間ほどとされています。

いきみたい衝動の強さにも個人差があり、子宮口がある程度開くまで比較的リラックスして過ごせる人もいれば、早い段階から強いいきみたい感覚があり、いきみ逃しが必要になる人もいます。

その後、分娩第2期に入り子宮口が全開になると、陣痛に合わせていきむタイミングになります。陣痛による子宮の収縮で赤ちゃんが下がってくるのを、いきみによって腹圧をかけてサポートするイメージです。

実際の分娩では、医師や助産師が赤ちゃんやママの状態を見ながら、いきむタイミングを具体的に指示してくれます。その指示に合わせて行えば大丈夫なので、安心して臨みましょう。

いきみ逃しの3つの方法

いきみ逃しにはいくつかの方法があり、実際にどれが自分に合っているかは、陣痛が始まってからでないと分からないことも多いです。
そのため、事前にいくつかの方法を知っておくことで、いざという時に落ち着いて対応しやすくなります。

ここでは、いきみ逃しに取り入れやすい3つの方法をご紹介します。

方法①呼吸法

いきみたいと感じた時には、息を細く長く吐くことを意識することで、自然と腹圧を弱めることができます。
いきみ逃しに取り入れられる代表的な呼吸法として、「ラマーズ法」と「ソフロロジー法」があります。

ラマーズ法

ラマーズ法は、陣痛の痛みを和らげることを目的とした呼吸法で、「ひっひっふー」という呼吸を耳にしたことがある方も多いかもしれません。
お産の進行に合わせて呼吸の仕方は変わりますが、特に子宮口が8〜9cmほど開き、いきみたい衝動が強くなる時期には、次の呼吸法でいきみ逃しを行います

  1. 鼻からしっかりと息を吸う
  2. 短く息を2回吐く
  3. フーッと長く息を吐く

いわゆる「ひっひっふー」の呼吸です。
それでもいきみたい気持ちが抑えにくい場合は、長く息を吐いた直後に一瞬だけ息を止めて「うんっ」と声を出し、その後すぐに呼吸を再開してみてください。

一瞬だけ力を入れてから抜くことで、次の呼吸で体の力が抜けやすくなることがあります。

ソフロロジー法

ソフロロジー法
ソフロロジー法(ソフロロジー式分娩法)は、陣痛の痛みやいきみたい衝動をポジティブに受け止め、心を落ち着けることで痛みや精神的な負担を和らげることを目的とした方法です。

いきみ逃しの際には、次のような呼吸を行います。

  1. あぐらを組み背筋を伸ばす
  2. 口をすぼめてフーっと6秒かけてゆっくり息を吐く
  3. 吐き終わったら、腹をフワッとさせると同時に自然に鼻から息を吸い込んで、その後、2秒息を軽く止める
  4. そしてまた吐く、という繰り返しの呼吸

ポイントは、とにかくゆったりと息を吐くこと。腹式呼吸を意識し、息を吸うときにはお腹がふくらみ、吐くときにはお腹がへこむイメージを持つとよいでしょう。

「赤ちゃんに酸素を送っている」という意識を持ちながら呼吸を続けることで、気持ちも落ち着きやすくなります。慣れてきたら、少しずつ呼吸にかける時間を長くしてみてください。

なお、当院ではソフロロジー式分娩法を取り入れた出産を推奨しています。
出産時に落ち着いて呼吸ができるよう、妊娠中から心構えや呼吸法を勉強できる母親学級や、動画で学べるコンテンツもご用意しています。

事前に呼吸法に慣れておくことで、陣痛中も自分のペースで呼吸しやすくなり、いきみ逃しの際にも役立ちます。

方法②圧迫法

いきみ逃し:圧迫法(テニスボール)
いきみたい衝動が強くなった時には、肛門周辺を圧迫することで、いきみを逃しやすくなることがあります。

テニスボールなどを使い、息を吐くタイミングに合わせて圧迫するのがポイントです。呼吸と合わせることで、より効果を感じやすくなるでしょう。

使用する場合は、適度な硬さと弾力のある硬式テニスボールがおすすめです。誰かに押してもらう方法のほか、テニスボールの上に座って自分の体重で圧をかける方法もあります。

方法③楽な体勢

陣痛中に楽に感じる体勢は、お産の進み具合や体調によって人それぞれ異なります。「これが正解」という体勢はないため、自分が一番力を抜きやすい姿勢を見つけることが大切です。体の力が抜けると、自然といきみ逃しもしやすくなります。

実際に、次のような体勢で楽になったという声があります。

  • シムズの体位
  • 四つ這い
  • あぐらをかく

シムズの体位は、左側を下にして横になり、左足を伸ばし、右足を軽く曲げる体勢です。足の間にクッションを挟み、右足を前に出すと、より楽に過ごしやすくなります。

このほかにも、「バランスボールに抱きついて中腰になる」「スクワットの姿勢が楽だった」という声もありました。

いきみ逃しでパパや家族が手伝えることはある?

いきみ逃しでパパや家族が手伝えることはある?
出産に立ち会う場合や、陣痛中に付き添う場合は、パパや家族がママのサポート役にまわることがとても大切です。ここでは、いきみ逃しの際にパパや家族ができるサポートのポイントをご紹介します。

汗を拭く

陣痛中は、痛みや緊張からたくさん汗をかくことがあります。陣痛の波が落ち着いたタイミングで、こまめに汗を拭いてあげましょう。
汗をかいたままだと不快なだけでなく、いざ出産の場面になったときに、汗で手が滑って分娩台のレバーを握りにくかったという声もあります。

初産の場合、子宮口が全開になるまで平均10~12時間ほどかかることもあるため、汗拭きシートなどを準備しておくと、長時間の付き添いでも快適に過ごしやすくなります。

テニスボールで圧迫する

いきみ逃しの方法のひとつに、テニスボールで肛門付近や腰を圧迫する方法があります。パパや家族が付き添っている場合は、この圧迫をサポートしてあげましょう。

「どこを押すと楽か」「強さはどうか」をママに確認しながら、しっかり圧をかけるのがポイントです。
パパの場合、「強く押しすぎてしまわないか」と不安になることもありますが、陣痛やいきみたい衝動を和らげるためには、ある程度しっかりした圧が必要です。
「少しずつ強くするね」「この強さで大丈夫?」など声をかけながら、ママが一番楽に感じるポイントを探してみてください。

ママの転倒を防止する

中には、歩いたり立ったりして体を動かしているほうが、いきみ逃しがしやすいと感じるママもいます。体を動かすことで、お産が進みやすくなる場合もあります。

ただし、陣痛中は痛みや集中によって注意力が低下しやすく、転倒のリスクも高まります。
ママが立ったり歩いたりしている間は、パパや家族がすぐそばで付き添い、転倒しないよう支えてあげると安心です。

正しくいきむポイント

安産のために正しくいきむポイント
子宮口が全開になったら、医師や助産師の指示に合わせていきみます。
赤ちゃんの娩出はもうすぐですので、声かけに耳を傾けながら、呼吸とタイミングを合わせていきみましょう。

上手にいきむためのポイントは、以下のとおりです。

  • 背中や腰は分娩台から浮かせず、しっかりと支える
  • 目は開いたままにする
  • 顎を引き、目線はおへそあたりに向ける
  • お尻を浮かせず、かかとを分娩台に押し付けるように力を入れる
  • 両足を大きく広げる
  • 口や肩、顔の力はできるだけ抜くよう意識する

分娩中に目を強く閉じたり、顔に力が入りすぎたりすると、顔の毛細血管に負担がかかり、内出血が起こることがあります。また、顔や上半身に力が入ってしまうと、腹圧がうまく赤ちゃんに伝わりにくくなることもあります。

助産師の声かけに合わせて、顔の力を抜き、お腹に力を集めるイメージでいきむことが大切です。

まとめ

今回は、出産をスムーズに進めるためのポイントとなる「いきみ逃し」について解説しました。
適切なタイミング以外でいきんでしまうと、産道がむくみやすくなり、お産が進みにくくなることがあります。そのため、子宮口が全開になるまで、いかに上手にいきみを逃せるかが、お産をスムーズに進めるための大切なポイントになります。

呼吸法や圧迫法、体勢を変える方法など、いきみ逃しにはさまざまな方法があります。どの方法が合うかは個人差が大きいため、事前にいくつかの方法を知っておくことが大切です。
陣痛が始まったら、助産師の指示を受けながら、今回ご紹介した方法を試し、ご自身に合ったいきみ逃しを見つけてみてください。

当院の分娩・出産について

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この記事の監修
木野産婦人科医院 院長 木野 秀郷
木野 秀郷
木野産婦人科医院 院長
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