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妊娠初期の頭痛はなぜ起こる?原因や対処法などを解説

医療法人みらいグループ
妊娠初期の頭痛はなぜ起こる?原因や対処法などを解説

妊娠初期は、吐き気や強い眠気、唾液が増えるなど、さまざまな体の変化が起こります。そのなかでも、比較的多くみられる症状のひとつが「頭痛」です。
「今まで頭痛はなかったのに急に痛むようになった」「つわりと一緒に頭も重い」と感じる方も少なくありません。

この記事では、妊娠初期に起こりやすい頭痛の原因や種類、受診の目安、対処法、薬の使用についてわかりやすく解説します。不安を感じたときの参考にしてください。

妊娠初期の頭痛はよくみられる症状のひとつ

妊娠した喜びも束の間、頻繁に頭痛を感じることはありませんか?
実は、頭痛は多くの妊娠初期のママにみられる症状のひとつです。

妊娠初期にみられる頭痛の主な原因
  • ホルモンバランスの変化
  • 自律神経の乱れ
  • 運動不足
  • 水分不足
  • 鉄分不足

これらの要因が単独、または複数重なって起こることがあります。
妊娠初期に起こる頭痛の原因はさまざまですが、原因にアプローチすることで症状が緩和するケースもあります。
なぜ妊娠初期に頭痛が起こりやすいのかを知り、改善のための対処法を探してみましょう。

妊娠初期の頭痛はいつからいつまで起こりやすい?

妊娠初期の頭痛は、早い方では妊娠5~6週頃から感じることがあります。
妊娠12~16週頃にかけて落ち着いてくる方が多く、妊娠19週(妊娠5か月頃)には改善していくケースが多いとされています。

妊娠中の頭痛は、つわりの症状のひとつとしてあらわれることもあり、つわりが始まる時期からおさまる時期にかけて起こりやすくなる傾向があります。ただし、ホルモンバランスの変化や血流の変化、自律神経の乱れなども関係していると考えられています。

また、つわりと同様に、まったく症状を感じない方もいれば、日常生活に影響が出るほどつらく感じる方もおり、個人差が大きいのが特徴です。

なかには妊娠中期以降や出産直前まで頭痛が続く方もいらっしゃいます。症状が強い場合や不安がある場合は、無理をせず医師にご相談ください。

妊娠初期に起こる頭痛の原因

頭痛を起こしている女性
妊娠初期は、体のなかで大きな変化が起こる時期です。
その影響で、これまであまり感じたことのなかった頭痛があらわれることもあります。

1.つわり

妊娠初期の頭痛は、つわりの症状のひとつとしてあらわれることがあります。
妊娠中に増えるといわれている「GDF15」という物質が、つわりに関係している可能性があるとする研究もありますが、詳しい仕組みはまだ研究が続けられている段階です。

つわりによる吐き気や食欲低下、睡眠の乱れ、嗅覚・味覚の変化、精神的な緊張などが重なることで、頭痛につながることもあります。

2.ホルモンバランスの変化

妊娠初期から中期にかけて、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が大きく変化します。

こうしたホルモンの変動は血管や神経の働きに影響を与え、頭痛を引き起こすことがあります。頭を下げたときに痛みが強まる、ズキンズキンと脈打つような痛み、光や音に敏感になる場合は、片頭痛の可能性があります。

3.自立神経の乱れ

妊娠による急激なホルモン変化や生活リズムの変化により、自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経は血管の収縮や拡張を調整しているため、バランスが崩れることで頭痛が起こることがあります。

4.貧血

妊娠中は血液量が増える一方で、鉄分などが不足しやすく、貧血がみられることがあります。とくに鉄欠乏性貧血は妊娠中に起こりやすいとされています。
貧血があると、体の隅々まで十分に酸素が行き渡りにくくなり、だるさや息切れ、めまい・立ちくらみとともに頭痛を感じることがあります。

5.血圧の上昇

妊娠中に血圧が高くなると、頭痛があらわれることがあります。妊娠高血圧症候群では、血圧の上昇に伴い、頭痛やむくみ、視覚の異常などがみられることがあります。
多くは出産後に改善しますが、症状が強い場合にはお母さんや赤ちゃんに影響することもあります。

6.運動不足

妊娠中は、つわりや眠気の影響で活動量が減ることがあります。体を動かす機会が少なくなると、首や肩まわりの血行が悪くなり、緊張型頭痛につながることがあります。
頭全体が締め付けられるような痛みがある場合は、このタイプの可能性があります。

7.脱水

つわりが強く、水分が十分にとれないと、脱水によって頭痛が起こることがあります。
体内の水分や電解質が不足すると、体調が不安定になり、頭痛につながることがあります。
水分がほとんどとれない、体重が急に減る、尿が極端に少ないといった場合は、妊娠悪阻(にんしんおそ)の可能性もあります。

妊娠初期に起こる頭痛の種類と症状

頭痛を起こしている女性
頭痛は大きく「一次頭痛」と「二次頭痛」に分類されます。

一次頭痛

一次頭痛とは、脳や体に明らかな病気がない状態で起こる頭痛を指します。
頭痛そのものが主な症状で、多くの方が経験するタイプです。

片頭痛

片頭痛は一次頭痛のひとつです。

血管や神経の働きが関係して起こると考えられており、ズキンズキンと脈打つような拍動性の痛みが特徴です。頭を下げたときに痛みが強まることや、光・音に敏感になることもあります。

緊張性頭痛

緊張型頭痛も一次頭痛のひとつです。
ストレスや筋肉のこわばり、長時間同じ姿勢を続けることなどがきっかけとなり、頭全体がギューっと締め付けられるような痛みがあらわれます。肩や首のこりを伴うことがあります。

二次頭痛

二次頭痛とは、何らかの病気が背景にあって起こる頭痛を指します。
頻度は高くありませんが、急に強い痛みが出る場合や、これまでと様子が違う場合は注意が必要です。

妊娠高血圧症候群

妊娠20週以降に高血圧が発症し、分娩後12週までに改善する高血圧のことを指します。
もともと高血圧や糖尿病、腎臓の病気がある方、肥満傾向のある方、高齢妊娠(40歳以上)、多胎妊娠、初産婦の方などでみられることがあります。
強い頭痛のほか、むくみ、視界がチカチカする、上腹部の痛みなどを伴うことがあります。
重症化すると、お母さんでは脳出血や肝機能障害などを合併する可能性があり、赤ちゃんにも発育不全や胎盤早期剥離などの影響が及ぶことがあります。

脳静脈血栓症

血管の中にできた血のかたまり(血栓)が脳の静脈に詰まり、血流が妨げられる病気です。
血栓によって血流が滞ると、脳に十分な酸素が行き渡らなくなり、脳梗塞などにつながる可能性があります。

妊娠中は血液が固まりやすい状態になるため、一般的に血栓症のリスクがやや高くなるとされています。
前触れとして、我慢できないほどの激しい頭痛に加え、視界の異常、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らないといった症状があらわれることがあります。

子癇(しかん)

妊娠高血圧症候群に関連して起こる重い合併症のひとつで、全身のけいれん発作を伴います。発症頻度は高くありませんが、お母さんにも赤ちゃんにも大きな影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。出産後もしばらくは発症することがあるため、体調の変化には注意しましょう。

前触れとして、激しい頭痛、視野の異常(チカチカする・見えにくいなど)、上腹部の痛みなどがみられることがあります。

妊娠初期の頭痛で病院を受診すべき症状

妊娠初期の頭痛は比較的よくみられる症状ですが、前述したようにまれに重大な病気が背景にあることもあります。
次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

  • 我慢できないほど激しい頭痛
  • 手足のしびれや麻痺、ろれつが回らない
  • 視界の異常やけいれんを伴う
  • 長引く頭痛(徐々に悪化)
  • これまで経験したことのない痛み

症状が重い場合は、救急要請を検討しましょう。

妊娠初期の頭痛への対処法

ベッドで療養する女性
原因に合わせて無理のない方法で対処することが大切です。ここでは、ご自宅で取り入れやすい対処法をご紹介します。

安静にする

片頭痛が疑われる場合は、光や音に敏感になることがあります。できるだけ静かで薄暗い場所で横になり、ゆっくり休んでみましょう。

水分補給をする

脱水がきっかけで頭痛が起こることもあります。少量ずつでもよいので、こまめな水分補給を心がけましょう。つわりで飲みにくい場合は、氷をなめるなど、無理のない方法を試してみるのもひとつです。
ただし、水分がほとんどとれない場合は、医療的な対応が必要になることもあります。早めにかかりつけ医へ相談してください。

頭を冷やす

ズキズキするタイプの頭痛では、痛む部分を冷やすことで楽になる方もいます。
氷嚢や保冷剤などをタオルで包み、無理のない範囲で試してみてください。

ストレッチをする

頭全体が締め付けられるような痛みがある場合は、緊張型頭痛の可能性があります。首や肩まわりをゆっくりほぐすことで、和らぐことがあります。体調に配慮し、無理のない範囲で行いましょう。

ツボを押す

ツボ押しも、症状が軽い場合には気分転換のひとつとして取り入れられます。強く押しすぎず、心地よいと感じる強さで行いましょう。

頭痛改善のツボ1「太陽」

頭痛改善のツボ 太陽
太陽はこめかみ付近にあるツボです。
指の腹でやさしく押し、10秒ほどかけてゆっくり圧をかけます。これを数回繰り返してみましょう。

頭痛改善のツボ2「百会(ひゃくえ)」

頭痛改善のツボ 百会
頭のてっぺんにあるツボです。
両手で頭を包むようにし、中指または人差し指でゆっくり押します。数回繰り返してみましょう。息を吐きながら行うと、よりリラックスしやすくなります。

妊娠初期の頭痛と薬の使用について

妊娠初期は赤ちゃんの体の大切な器官がつくられていく時期で、薬の影響についても慎重に考える必要があります。
この時期は、自己判断で市販薬を服用せず、医療機関や薬剤師に相談するのがおすすめです。

医療機関では、妊娠週数や症状、持病の有無などを踏まえて、必要性と安全性を考えたうえでお薬が選ばれます。気になる症状がある場合は、「妊娠中(妊娠の可能性がある)」であることを必ず伝えましょう。

妊娠中に注意が必要な成分

市販の頭痛薬には、妊娠中の使用に注意が必要な成分が含まれていることがあります。
代表例として、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される成分(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)は、妊娠週数によって胎児への影響が懸念され、特に妊娠後期は使用しないこととされています。

また、アスピリンは用量や目的によって位置づけが異なり、妊娠高血圧症候群の予防などを目的として医師の判断で「低用量アスピリン」が用いられることもあります。
そのため、「この成分は絶対にダメ」と自己判断で線引きするよりも、成分を確認し、迷ったら医療機関・薬局へ相談するのが安心です。

病院で処方されることが多い薬

妊娠中の頭痛では、状況に応じてアセトアミノフェン(カロナール等)が選ばれることがあります。妊娠中でも比較的使用されることが多い鎮痛薬とされており、必要最小限の量・期間で使うことが大切です。

「市販でも似た名前の薬が売っているのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、市販薬には複数の成分が入った「複合薬」も多く、妊娠中は避けたい成分が含まれていることがあります。自己判断での購入・服用は控え、医師や薬剤師に確認しましょう。

まとめ

妊娠初期の頭痛は、ホルモンバランスの変化やつわり、睡眠不足、貧血など、さまざまな要因が重なって起こることがあります。多くは片頭痛や緊張型頭痛といった一次頭痛であり、安静にする、水分をとる、体を整えるなどのセルフケアで和らぐこともあります。

一方で、我慢できないほど強い痛みや、しびれ・視界の異常などを伴う場合は、病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。いつもと違うと感じたときは、無理をせず医療機関へ相談しましょう。

また、妊娠初期は薬の使用にも慎重になる時期です。自己判断で市販薬を服用せず、つらい場合は医師や薬剤師に相談し、安全に使用できる方法を一緒に検討していきましょう。

不安なときは、ひとりで抱え込まずに相談することが大切です。

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この記事の監修
木野産婦人科医院 院長 木野 秀郷
木野 秀郷
木野産婦人科医院 院長
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