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無痛分娩の平均費用は?助成制度・保険適用・産院選びのポイントも解説

医療法人みらいグループ
無痛分娩の費用相場は?助成制度・保険適用・産院選びのポイントも解説

出産方法を考えるなかで、「できるだけ痛みを和らげたい」「無痛分娩も選択肢に入れたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
一方で、無痛分娩は費用が気になり、迷われている方も少なくありません。

この記事では、無痛分娩の費用相場についてわかりやすく解説します。
あわせて、無痛分娩を取り扱っている産院を比較検討する際のポイントや、助成制度の有無、保険が適用されるのかどうかについても詳しくご紹介します。

無痛分娩を検討されている方が、安心して選択できるよう、ぜひ参考にしてください。

無痛分娩とは

無痛分娩とは
無痛分娩とは、麻酔を用いて出産時の痛みや不安を和らげながら行う分娩方法です。

分娩では「いきみ」が必要となるため、すべての痛みが完全になくなるわけではありませんが、痛みが軽減されることで、比較的落ち着いてお産に臨めるというメリットが期待できます。

日本では、現在も自然分娩を選ばれる方が多い状況ですが、無痛分娩も少しずつ広がりを見せており、出産方法の選択肢の一つとして注目されています。

海外ではすでに主流な分娩方法として取り入れられている国もあり、近年、日本でも関心が高まっています。

無痛分娩の平均的な費用相場

無痛分娩の費用相場

無痛分娩の費用は、自然分娩の費用に、麻酔などの処置費用が加わる形となります。

一般的には、自然分娩の費用に+約10〜20万円程度が相場と考えられています。

自然分娩の費用は産院ごとに異なりますが、厚生労働省のデータでは、令和6年度(2024年度)上半期の妊婦合計負担額の全国平均はおよそ59万円前後とされています。

この数字を参考にすると、無痛分娩の総額はおおむね69〜79万円前後が、ひとつの目安になると考えられます。

ただし、費用の設定は産院や地域によって差が大きく、なかには100万円を超えるケースもあります。また、産院によっては初産婦か経産婦かによって金額が異なる場合や、夜間・土日祝日などの休診日に出産となった場合に追加料金が発生することもあります。

そのため、出産を予定している産院で、費用の内訳や追加料金の有無について、事前にしっかり確認しておくと安心です。

参考:厚生労働省保険局|出産費用の状況等について(令和6年11月)

※「妊婦合計負担額」とは、出産育児一時金の直接支払制度の利用の有無にかかわらず、出産にあたって妊婦さんに実際に請求される実費の合計を指します。室料差額(個室料など)や産科医療補償制度掛金、お祝い膳などの医療行為以外にかかる費用も含まれます。厚生労働省の資料では、これらの医療外費用を除いた金額を「出産費用」として別途集計しており、2つの指標が示されています。

無痛分娩以外の出産方法と費用の平均相場

無痛分娩以外にも、出産方法にはいくつかの選択肢があります。ここでは、無痛分娩以外の出産方法にかかる費用の目安についてもご紹介します。

自然分娩

正常分娩における出産費用の内訳(令和6年度上半期)

帝王切開や吸引・鉗子などの医療的処置を伴わない分娩の多くは、自然分娩に該当します。

厚生労働省の調査によると、令和6年度上半期の妊婦合計負担額の平均は「589,794円」とされています。

※妊婦合計負担額から、「室料差額」「産科医療補償制度掛金」、お祝い膳など医療行為以外にかかる費用に該当する「その他」の費目を差し引いた出産費用は、「517,952円」となっています。

帝王切開

何らかの理由で外科手術による分娩が必要と判断された場合に行われるのが帝王切開です。帝王切開は、原則としてママの希望のみで選択できるものではなく、医師が母子の安全を第一に考え、必要と判断した場合に行われます。

帝王切開にかかる費用は、総額でおおよそ60〜100万円程度といわれていますが、健康保険が適用されるため、自己負担額は比較的抑えられます。また、加入している生命保険の内容によっては、給付金を受け取れる場合もあります。

無痛分娩は保険適用される?

出産は病気ではないため、医学的な処置を行わない正常分娩にかかる費用は原則として自由診療となります。

無痛分娩は、出産時の痛みを和らげるために麻酔を用いる医療行為を伴いますが、「病気やけがの治療」には該当しないため、一般的には公的医療保険の対象とはなりません。

ただし、医学的な理由から無痛分娩が必要と医師が判断した場合には、医療適応として保険が適用されるケースがあります。
たとえば、以下のような状況が該当することがあります。

  • 妊娠高血圧症候群のリスクがある場合
  • 脳血管疾患や心疾患のリスクがある場合
  • 精神疾患の既往があり、強い不安やパニック症状が懸念される場合
  • 疲労性微弱陣痛などにより、分娩が長引いている場合

痛みや不安によって血圧が上昇すると、これらの持病やリスクがある方にとっては母体への負担が大きくなることがあります。そのため、安全な出産を目的として、無痛分娩が医療的に必要と判断されるケースもあります。

無痛分娩でも出産育児一時金はもらえる?

出産育児一時金は、国民健康保険や会社の健康保険などに加入している方が受け取ることのできる給付金です。無痛分娩であっても、自然分娩や帝王切開と同様に、出産育児一時金(原則50万円)を受け取ることができます。

無痛分娩の費用が産院ごとに違う理由は?

前述のとおり、無痛分娩は原則として自由診療となるため、出産にかかる費用は公的医療保険の対象外です。そのため、費用は一律ではなく、産院ごとに設定されています。

出産にかかる費用は、施設の設備や人員体制、提供されるサービス内容などに応じて異なります。無痛分娩の場合は、麻酔科医の確保状況や対応体制も、費用に影響する要素のひとつです。

分娩の費用は地域差もある
また、地域による差もみられます。たとえば、正常分娩の平均出産費用については、厚生労働省の令和5年度のデータによると、東京都が625,372円と最も高く、熊本県では388,796円と最も低い水準であることが報告されています。
(平均妊婦合計負担額で見ても、東京都が723,462円と最も高く、熊本県が456,729円と最も低い結果となっています。)
地域による医療体制や環境の違いも、こうした費用差の背景のひとつと考えられます。

参考:厚生労働省保険局|出産費用の状況等について(令和6年11月)

無痛分娩の費用を比較する時のポイント

無痛分娩の費用を比較する時のポイント
無痛分娩を検討している方のなかには、「できれば費用は抑えたいけれど、安全面も気になる」と悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ママや赤ちゃんに関わる大切なことだからこそ、「安いから」という理由だけで出産する施設を選ぶのは、少し不安に感じてしまいますよね。

複数の産院で無痛分娩の費用を比較する際には、金額だけでなく、次のようなポイントもあわせて確認してみると安心です。

夜間帯や診療時間外の対応

産院によっては、夜間帯や診療時間外には無痛分娩の処置に対応していない場合があります。また、対応している場合でも、夜間帯や診療時間外には追加料金がかかるケースも少なくありません。

希望している産院で、夜間や診療時間外の対応がどのようになっているのかを、事前に確認しておくと安心して検討できます。

無痛分娩の実績

安心して出産に臨みたい方は、産院の無痛分娩の実績にも目を向けてみましょう。無痛分娩では、麻酔科医の技術だけでなく、分娩をサポートする助産師や看護師の経験も大切なポイントになります。

無痛分娩の経験が豊富なスタッフがいると、分娩の進み具合を見ながら適切なタイミングで麻酔を行いやすく、より安心して出産に臨むことができます。

産院によっては、無痛分娩の実績を公式ホームページなどで紹介していることもありますので、参考にしてみてください。

初産婦の場合の対応可否も確認

初産で無痛分娩を希望している場合は、無痛分娩に対応している医療機関であっても、初産での申し込みが可能かどうかを事前に確認しておくことも大切です。医療機関によっては、無痛分娩の対象を経産婦のみに限定しているケースもあるため、あわせて確認しておくと安心です。

自治体によっては無痛分娩が助成されるケースがある

自治体によっては、無痛分娩に対して助成制度が設けられているケースがあります。
たとえば東京都では、無痛分娩にかかる費用に対して、上限10万円の助成制度が開始されています。

制度の内容は、対象となる居住地や出産する医療機関が限定されており、2025年12月時点では、東京都在住の方を対象に、指定された医療機関での出産が条件とされています。

東京都の取り組みは、全国的に見ても比較的手厚い制度のひとつといえますが、少子化対策の一環として行われている先行的な事例でもあります。今後、こうした取り組みの効果が注目されることで、他の自治体でも同様の制度が検討される可能性も考えられます。

助成制度の内容や条件は自治体ごとに異なり、また変更されることもあるため、定期的にお住まいの自治体の情報を確認し、ご自身が利用できる公的な補助があるか調べてみることをおすすめします。

参考:東京都福祉局|無痛分娩費用の助成

出産費用をめぐる制度見直しの動き~無償化・全国一律化の検討~

近年、出産費用は少しずつ上昇しており、厚生労働省の調査結果をみると、令和6年度上半期の出産費用平均(妊婦合計負担額)は、令和4年の費用と比べて約8%増加しています。こうした出産費用の高騰は社会的な課題としても取り上げられており、分娩費用のあり方や、公的医療保険の適用範囲などについて、国のレベルでも検討や議論が進められています。

その一環として、2025年12月に発表された方針として、厚生労働省では、出産費用を公的医療保険で賄う仕組みへの移行を視野に入れ、医療機関ごとに異なる分娩費用を全国一律の基本単価とする方針が示されました。現在検討されている基本単価は55〜60万円程度で、地域差の是正を図る方向で議論が進められています。

この制度が導入された場合、基本単価分については公的医療保険が適用され、妊婦さんの自己負担は原則として発生しない仕組みとなる見込みです。
一方で、個室料やお祝い膳などの付加的なサービスについては、引き続き自己負担となる予定です。

また、現在も保険適用となっている帝王切開などの処置については、現行どおり自己負担割合が維持される見通しとされています。

制度の導入時期については、2027年度以降を目指して検討が進められています。

まとめ

今回は、無痛分娩の費用についてご紹介しました。

無痛分娩の費用は、一般的に自然分娩の費用に加えて追加費用が発生しますが、自由診療であるため、金額や対応内容には産院ごとの差があります。

費用だけで判断するのではなく、無痛分娩の対応実績や、麻酔科医・助産師・看護師の体制、夜間や緊急時の対応なども含めて確認しておくと、より安心して出産方法を選ぶことができます。

今回ご紹介したポイントを参考に、ご自身の体調や不安の程度、希望する出産のイメージなども踏まえながら、ご自身が納得できる出産方法を検討してみてくださいね。

当院では、初産婦さんも無痛分娩を選択することができます。出産する病院をどこにしようか迷われている方に向けて、スタッフが院内をご案内し、ご質問やご不安にお答えする院内見学ツアーも実施しています。

少しでも気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

当院の無痛分娩について
院内見学ツアーについて

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この記事の監修
木野産婦人科医院 院長 木野 秀郷
木野 秀郷
木野産婦人科医院 院長
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